― 特性を理解し、生きづらさを整理するために ―
「仕事で同じようなミスを繰り返してしまう」「段取りや片づけがどうしても苦手」「相手の気持ちや場の空気を読むのが難しいと感じる」「一つのことに集中すると周りが見えなくなる」――そうした困りごとが続くなかで、「もしかして自分は発達障害なのではないか」と考える方が増えています。
発達障害は、子どものものというイメージがありましたが、近年は大人になってから特性に気づき、相談に来られる方が多くなっています。このページでは、大人の発達障害とはどのような状態か、そして「気づく」ことがどう役立つのかをご説明します。あわせて、診断を受けるうえで知っておいていただきたいことにも触れます。
大人の発達障害とは
発達障害は、生まれ持った脳の特性によって、得意なことと苦手なことの差が大きく、日常生活や仕事で困りごとが生じやすい状態を指します。大きく分けて、次のような特性があります。
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向
- 相手の気持ちや場の空気を読み取ることが苦手
- 興味や関心のかたよりが強く、特定の物事に深く集中する
- 予定の変更や、いつもと違う状況が苦手
- 感覚(音・光・触感など)に敏感、あるいは鈍感
ADHD(注意欠如・多動症)の傾向
- 不注意なミスが多い、忘れ物やなくし物が多い
- 段取りや時間の管理、片づけが苦手
- じっとしているのが苦手、思いつくと先に動いてしまう
- 興味のあることには過度に集中する一方、苦手なことは先延ばしになる
これらの特性は、はっきりと分かれているわけではなく、両方の傾向をあわせ持つ方もいます。また、特性があること自体は「異常」ではありません。特性が、その人の置かれた環境や求められる役割と合わないときに、困りごととして現れるのです。
なぜ大人になってから気づくのでしょうか
子どもの頃は、家庭や学校がある程度守ってくれていたり、特性が目立ちにくかったりして、大きな問題にならずに過ごせることがあります。ところが社会に出て、複雑な段取りや対人関係、臨機応変な対応を求められるようになると、それまで何とかなっていた苦手さが、はっきりとした困りごととして現れてきます。
「自分の努力が足りないのだ」と感じて、長い間ご自身を責めてこられた方も少なくありません。特性を知ることは、その自責から少し自由になるきっかけにもなります。
特性に気づくことの意義は、「診断名がつくこと」そのものよりも、自分の苦手さの理由が分かり、対処や環境の工夫につなげられることにあります。
「気づく」ことが、なぜ役に立つのでしょうか
発達障害の特性は、薬で「治す」というものではありません。大切なのは、自分の特性を理解し、苦手さを補う工夫をしたり、特性に合った環境を整えたりすることです。
- 苦手な作業を、メモやツールで補う工夫を取り入れる
- 自分に合った仕事の進め方・役割を見つける
- 職場に必要な配慮を求める(合理的配慮)
- 自分を責める気持ちから距離を置く
ADHDの一部の特性には、有効な薬がある場合もあります。ただし薬は補助的なもので、中心になるのはあくまで理解と工夫、環境の調整です。当院は「脱・薬物療法」を掲げており、薬に頼りすぎない対処を大切にしています。
診断を受けるうえで、知っておいていただきたいこと
「発達障害かどうか、はっきりさせたい」というお気持ちはよく分かります。一方で、診断にあたっては、いくつか知っておいていただきたいことがあります。
診断は時間をかけて、慎重に行います
大人の発達障害の診断は、一度の診察ですぐに決まるものではありません。生育歴や仕事・生活での困りごとを丁寧に伺い、必要に応じて時間をかけて評価します。お一人おひとりに十分な時間をかけるため、当院は完全予約制としています。
似た困りごとが、別の理由で起きていることもあります
集中できない、気分が不安定、対人関係がうまくいかない――こうした困りごとは、発達障害だけでなく、うつや不安、その他の要因でも生じます。「発達障害の特性」と「他の状態」を見分けることは、適切な対処のためにとても重要です。当院では、決めつけずに、背景を丁寧に見極めることを大切にしています。
「発達障害だ」と思い込んで対処を進めた結果、本当の原因が見過ごされてしまうこともあります。だからこそ、自己判断ではなく、専門家とともに丁寧に整理することをおすすめします。
当院の考え方
当院では、大人の発達障害に関するご相談を、「診断名をつけること」を目的とするのではなく、「ご本人の生きづらさを整理し、これからの工夫につなげること」を目的としてお受けしています。特性の理解、環境調整の考え方、必要な場合の職場への配慮についても、ご相談に応じます。
精神科における診断は、症状の経過や背景を総合して、慎重に判断するものです。当院は、得意・不得意の特性を丁寧に見極めることを専門的に大切にしています。
受診をお考えの方へ
「これくらいで相談してよいのだろうか」とためらう必要はありません。長く抱えてきた生きづらさの理由を整理することは、これからをより楽に過ごすための一歩になります。まずは、今の困りごとを一緒に整理することから始めましょう。
ご注意ください:このページの内容は一般的な情報提供です。ここに挙げた特性に当てはまることがあっても、それだけで発達障害と判断できるものではありません。気になる方は、自己判断せず専門家にご相談ください。
あおばこころのクリニック
静岡市葵区鷹匠3-17-6 / 完全予約制 TEL 054-200-2227(受付 9:00〜17:00)

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