眠れない夜を、薬だけに頼らず整える

院長コラム
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― 不眠との向き合い方と、睡眠を整える生活習慣 ―

「布団に入ってもなかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早くに目が覚めて、その後眠れない」「眠ったはずなのに疲れがとれない」――眠りの悩みは、精神科・心療内科でもっとも多くいただくご相談の一つです。

眠れない日が続くと、「睡眠薬に頼るしかないのだろうか」と不安になる方は少なくありません。けれども、不眠への対処は薬だけではありません。むしろ、睡眠のしくみと生活習慣を整えることが土台になります。このページでは、不眠との向き合い方と、薬に頼りすぎずに眠りを整える考え方をご説明します。

不眠には、いくつかのタイプがあります

ひとくちに「眠れない」といっても、現れ方はさまざまです。ご自身がどのタイプに近いかを知ることが、対処の第一歩になります。

  • 入眠困難 ― 布団に入ってもなかなか寝つけない
  • 中途覚醒 ― 夜中に何度も目が覚めてしまう
  • 早朝覚醒 ― 望む時刻より早く目が覚め、その後眠れない
  • 熟眠感の欠如 ― 眠ったはずなのに、ぐっすり眠れた感じがしない

これらは単独のこともあれば、重なって現れることもあります。また、不眠は背景に別の要因―ストレス、うつや不安、生活リズムの乱れ、体の病気など―が隠れていることもあります。原因によって対処が変わるため、長く続く不眠は一度ご相談いただく価値があります。

なぜ「睡眠薬だけ」では解決しにくいのでしょうか

睡眠薬は、つらい不眠を一時的に和らげる助けになります。しかし、不眠の背景にある要因―たとえば生活リズムの乱れや、眠りを妨げる習慣―がそのまま残っていると、薬をやめたとたんにまた眠れなくなる、ということが起こりがちです。

また、睡眠薬の中には、長く飲み続けるうちに体が慣れてしまい、同じ量では効きにくくなったり、やめづらくなったりするものもあります。だからこそ、薬は必要なときに上手に使いながら、並行して睡眠を整える土台をつくることが大切なのです。

「睡眠薬をやめられなくなるのが怖い」という心配はよく伺います。当院では、必要な時期に最小限を使い、眠りが整うのに合わせて減らしていくことを基本としています。

今日から始められる、睡眠を整える習慣

薬に頼る前に、あるいは薬を使いながら並行して、生活の中でできる工夫があります。すべてを完璧にする必要はありません。取り入れやすいものから始めてみてください。

起きる時刻を一定に保つ

眠れた・眠れないにかかわらず、毎朝同じ時刻に起きることが、体内時計を整える基本です。休日に寝だめをすると、かえってリズムが乱れます。「寝る時刻」より「起きる時刻」を一定にすることを意識してください。

朝の光を浴びる

起きたら朝の光を浴びましょう。光を浴びてから約14〜16時間後に自然な眠気が訪れるよう、体内時計が調整されます。朝の光は、夜の寝つきを良くするための準備でもあります。

眠れないときは、一度布団から出る

布団の中で「眠らなければ」と焦るほど、目は冴えてしまいます。15〜20分ほど眠れないときは、一度布団を出て、照明を落とした部屋で静かに過ごし、眠気がきてから戻りましょう。「布団=眠る場所」という結びつきを保つことが大切です。

夕方以降のカフェイン・寝る前のスマートフォンに気をつける

カフェインの覚醒作用は数時間続きます。夕方以降のコーヒーや緑茶は控えめに。また、寝る前のスマートフォンやパソコンの強い光は、眠りを促すしくみを妨げます。就寝前の1時間はできるだけ画面から離れましょう。

お酒を「寝るための手段」にしない

寝酒は寝つきを良くするように感じても、眠りを浅くし、夜中に目が覚めやすくなります。眠るためのお酒は、かえって不眠を悪化させることが知られています。

こんなときは、ご相談ください

生活の工夫で改善することも多い一方、次のような場合は、背景に対処が必要な要因が隠れていることがあります。一人で抱えず、ご相談ください。

  • 不眠が数週間以上続いている
  • 日中の眠気や倦怠感で、仕事や生活に支障が出ている
  • 気分の落ち込みや強い不安をともなっている
  • すでに睡眠薬を使っているが、量が増えている・やめられない

当院の考え方

当院は「脱・薬物療法」を掲げ、睡眠の悩みに対しても、薬だけに頼らず、生活習慣と眠りのしくみを整えることを土台に置いています。必要な時期には薬を適切に使いますが、漫然と長く続けることは避け、眠りが整うのに合わせて減らしていきます。

すでに睡眠薬を長く使っていて減らしたいという方のご相談にも応じています。完全予約制で十分な時間を確保し、ご自身が納得できるペースで進めていきます。

受診をお考えの方へ

「眠れないくらいで受診してよいのだろうか」とためらう必要はありません。睡眠は心と体の健康の土台です。長引く不眠は、早めに整えるほど楽になります。まずは今の眠りの状況を一緒に見直すことから始めましょう。

ご注意ください:このページの内容は一般的な情報提供です。睡眠薬を使用中の方は、自己判断で中断・変更せず、医師にご相談ください。不眠の背景に体の病気が隠れていることもあります。

あおばこころのクリニック

静岡市葵区鷹匠3-17-6 / 完全予約制 TEL 054-200-2227(受付 9:00〜17:00)

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